2025.05.31
社有林だより
皆さん、こんにちは。
新年度となり、あちこちで初々しい様子の新入社員を見かけますが、三井物産フォレストでも帯広山林事務所で森づくりを担う新人一名が入社してくれました。入社式での凛々しい様子のご本人を前に私も気持ちを新たにしました。早速、業務を開始してくれており、これからの成長と活躍を期待しています。
さて、2月下旬に岩手・大船渡で発生した山火事は延焼面積3,370ヘクタールにも及び11日後の3月9日に漸く鎮火しました。その後、愛媛、岡山、宮崎でも相次いで山火事が発生し、多くの家屋が被災し、死傷者も出たことご承知の通りです。愛媛での山火事は、現場が出身地の今治であったことから、実際に見たことがある景色の中で火勢があっという間に拡がる山林と飛び火で家屋や倉庫が焼ける様子に信じられない思いでした。幸い、5日目に恵みの雨が降ったことで、火勢が弱まり延焼が止まりましたが、鎮火宣言が出されたのは、地中の熱源に再発火の心配が無いことを確認した後、火災発生から23日も後の4月14日になってからでした。
林野庁の統計では、国内での山火事の件数は、過去数十年の長いトレンドでは着実に減少しており、野焼きやタバコの不始末が減っているからであろうと想像されますが、一方で、気候変動での気温上昇によって森林地面が熱を持ち、一旦火災が起こると今回の一連の山火事のように著しく延焼して鎮火に時間がかかることが問題です。火勢は風向き次第、消防車は森林内では出入りも水源面でも機能しません。
社有林でも過去に山火事が起こったことがあります。最近では、2014年、北海道・函館の西に位置する知内山林(221ha)にて発生しています。幸い、人や家屋への被害はありませんでした。その後被害地にはカラマツを新植し、10年以上が経って森林は順調に育成・回復しています。
全国に拡がる社有林では、従来、山火事防止には最大限の注意を払って対応しています。各拠点の社員が定期的に巡回すると共に、拠点から離れた森林では地元森林組合や管理人の皆さまの協力を得ながら、万一の火災発生の場合のアクションを取っていきます。社有林の中で、登山者の入山を許可している福島・田代山林と新潟・南葉山林の2つ以外は一般人の入林は禁止ですが、山菜取りや昆虫採集での入林者は防ぎようもなく、そうした入林者にも山火事防止を看板や幟で注意喚起し呼び掛けています。
沼田山林
茶安別山林
知内山林
仙千代ヶ峰頂上
三戸山林遠望(見晴らしから)
三戸山林遠望2