トピックス Topics

2025.06.11

2025年6月 社有林だより

社有林だより

皆さん、こんにちは。
風薫る季節、全国社有林では夫々の場所・風土に応じた新緑が美しい様子になっています。年々明らかに気温が上昇しその時期も早まっていることは気になりますが、若い緑の森には大いに癒されます。

さて、先月開幕した大阪関西万博に行って参りました。朝9時の開場から夕方7時頃まで沢山のパビリオンを回りました。どこも各国の文化や伝統と共に「いのち輝く未来社会のデザイン」の万博テーマに則った工夫と展示が為されており、夫々素晴らしく大いに楽しみました。一方、世界最大の木造建築としてギネス認定された全長2Km、高さ20mの大屋根リングは圧巻でした。会場を取り囲むように設置された大屋根リングは、神社仏閣の技術である貫(ぬき)接合と現代工法を組み合わせた構造が採用され、約7割が国産のスギ・ヒノキ、残り3割は外国産の欧州アカマツが使用されているとのことです。大屋根リングを木造にした理由について、デザインを担当した建築家の藤井壮介氏は、「1,000年以上の日本の木造建築の歴史と伝統を活かしつつ、日本が木造建築で世界的イニシアチブを握るメッセージを出す為」としています。

大屋根リング屋上には、全長に亘る色とりどりの草花の植栽とスカイウォークと呼ばれる回廊があり一周を隈なく歩くことが出来ます。万博会場を見下ろしながら、北は大阪市街、西は大阪湾から六甲、東は奈良の山々、など、絶景です。大屋根リングは、万博終了後は、解体・撤去される予定ですが、レガシーとして残すべしとの意見も出ているようです。簡単ではないと思いますが、大型木造建築の技術と素晴らしさをアピールし、普及を促すことは、日本林業復興と発展にも繋がることであり、前向きに検討して欲しいと感じます。

大屋根リングは木材の活用に関わることですが、全国76ヶ所の社有林では、森づくりを通じた公益機能の向上にも絶えず取り組んでいます。樹木が本来持つ二酸化炭素固定機能やJクレジット創出等による気候変動対応や生物多様性保全は重要で、そのベースとなるのは水源涵養(かんよう)に富む森林です。水源涵養とは、樹木が確り根を張り栄養分に富んだ大地がスポンジのように降雨を蓄え急激な河川への流出を防ぐと共に、渇水時にも水量が確保される機能です。昨今の台風大型化や線状降水帯発生による豪雨に対しても水源涵養に富んだ森林は、同機能により土砂崩れや洪水を防ぐことで有効です。

水源涵養に富んだ森づくりは、災害防止と水源確保という点で国土にとって重要であることから、森林整備センター(国立研究開発法人)が全国森林整備を担う制度が1961年以来確立しており、民間保安林での整備をサポートしています(水源林造成事業)。社有林でも、奥地、アクセス道路が不便、等の理由で手入れの行き届かない保安林(公益機能が高い森を行政が指定)のいくつかで(合計約2,500ha)、同センターと契約を結び共同で森づくりを行っています。同契約では、整備の為の間伐収益も応分に分け合うことから「分収林契約」と呼ばれています。北海道森林整備センターではR5年までに累計3万ヘクタールの森林整備を完工し昨年記念式典を開催、社有林はその達成に多大なる貢献をしたとの理由で感謝状を授与されました。水源涵養も含めて、引き続き、公益機能の高い森づくりに取り組んで参ります。

以 上

 

森からの便り - 四季折々の一期一会

新緑の似湾山林

分収林(道南 大野山林)

大阪関西万博➀

大阪関西万博②

大阪関西万博③

大阪関西万博④

一覧に戻る
お問い合わせ